導入
宮城・仙台でホームページの制作を考えていて、補助金が使えないかとお調べの方に向けて書いています。
先に結論を申し上げます。小規模事業者持続化補助金(第20回)では、ホームページ制作とSNS運用が「別の費目」として扱われます。それぞれに30万円ずつの上限があるので、合わせて最大60万円分の枠があることになります。
ただし補助金そのものの上限が50万円なので、75万円の計画に組めば、補助金50万円・自己負担25万円という形になります。
この記事では、その組み方と、公募要領を読まないと分からない落とし穴を書きました。採択をお約束するものではありません。制度として対象になるかという話と、審査を通るかという話は別なので、そこは分けて書いています。
※ この記事は第20回公募要領の原文にもとづいています(2026年5月27日公開)。制度は変わることがあるので、申請前には必ず最新の公募要領をご確認ください。
結論|ホームページとSNS運用は「別の費目」です
持続化補助金の補助対象経費は、8つの科目に分かれています。
①機械装置等費/②広報費/③ウェブサイト関連費/④展示会等出展費/⑤旅費/⑥新商品開発費/⑦借料/⑧委託・外注費
このうち、WEB関係は②と③に分かれています。そしてここが重要なのですが、上限はそれぞれに設定されています。
| 費目 | 入るもの | 補助金の上限 |
|---|---|---|
| ③ウェブサイト関連費 | ホームページ制作、ECサイト、システム開発、改修、運用 | 30万円(税込) |
| ②広報費 | チラシ、看板、ネット広告、SNS広告・運用代行費 | 30万円(税込) |

公募要領には、それぞれの費目の説明のなかに「当経費の補助金交付申請額の上限は30万円(税込)です」と、別々に書かれています。2つ合わせて30万円ではありません。
そして広報費の対象となる経費例に、「SNS広告、運用代行費」がはっきり書かれています。SNSの運用を外部に頼む費用は、この費目に入るということです。
あわせて、ウェブサイト関連費の対象例には「ウェブサイトおよびシステムに関連するコンサルティング、アドバイス費用」もあります。制作そのものだけでなく、その周辺の相談費用も対象になり得ます。
75万円で組むと、自己負担は25万円になります
補助率は3分の2、補助上限は50万円です(通常枠の場合)。実際に数字を入れてみます。
| 費目 | かかる費用 | 補助金 |
|---|---|---|
| ③ウェブサイト関連費(ホームページ制作) | 45万円 | 30万円(上限いっぱい) |
| ②広報費(SNS運用代行など) | 30万円 | 20万円 |
| 合計 | 75万円 | 50万円(上限いっぱい) |
| 自己負担 | 25万円 | |

75万円分のものを、25万円で手に入れる計算になります。
なぜ45万円なのか、という点だけ補足します。上限30万円は「補助金の額」の上限です。補助率が3分の2なので、30万円 ÷ 3分の2 = 45万円。つまりウェブサイト関連費として計上できる費用は、45万円までが意味のある範囲ということになります。それ以上かけても、補助金は30万円で頭打ちです。
広報費のほうも同じで、45万円まで計上できます。ただし両方を45万円ずつにすると経費90万円・補助金60万円となり、補助金の上限50万円を超えてしまいます。だから75万円あたりで組むのが、無駄のない形になります。
もっとも、この配分が正解というわけではありません。チラシを多めにしたい、看板も作りたい、という事情があれば形は変わります。大事なのは「WEBの費用は2つの箱に分かれていて、箱ごとに上限がある」ということです。
ご自身の場合にどう組めるかは、何を売りたいかで変わります。計画を書く前の段階のご相談でも構いません。
制度の基本|補助率・上限・締切
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助率 | 3分の2(賃金引上げ特例のうち赤字事業者は4分の3) |
| 補助上限 | 50万円 |
| インボイス特例 | +50万円 上乗せ |
| 賃金引上げ特例 | +150万円 上乗せ |
| 申請受付 | 2026年11月5日(木)〜 12月15日(火)17:00 |
| 事業支援計画書の発行受付締切 | 2026年12月4日(金) |

ここで見落としやすいのが、いちばん下の行です。
この補助金は、商工会・商工会議所に「事業支援計画書」を発行してもらわないと申請できません。そしてその締切は、申請の締切より11日早い12月4日です。
12月15日の締切を見て動くと、間に合いません。実際には、商工会に相談してから計画書が出るまでにも時間がかかります。逆算すると、動き出しは11月では遅いと考えたほうがいいと思います。
どちらも「単独では申請できません」
公募要領には、両方の費目に同じ注意書きがあります。
「広報費のみによる申請はできません。必ず、ほかの経費と一緒に申請してください。」
「ウェブサイト関連費のみによる申請はできません。必ず、ほかの経費と一緒に申請してください。」
つまり「ホームページを作るだけ」では申請できません。ここでつまずく方が多いのではないかと思います。
ただ、裏を返せばこの2つを組み合わせれば、互いが互いの「ほかの経費」になります。ホームページ制作(ウェブサイト関連費)とSNS運用(広報費)を一緒に申請する形は、この条件を自然に満たします。
もちろん、チラシでも、看板でも、展示会への出展でも構いません。要は「ホームページ単体の計画にしない」ということです。そしてこれは制度の趣旨から考えても筋が通っています。この補助金は販路開拓のための補助金であって、ホームページを作ること自体が目的ではないからです。
落とし穴①|「単なる会社のPR」は対象外です
ここがいちばん重要な部分だと思っています。公募要領の広報費の項に、こう書かれています。
「補助事業計画に基づく商品・サービスの広報を目的としたものが補助対象であり、単なる会社のPRや営業活動に活用される広報費は、補助対象外です。」
そして対象外の例として、こう続きます。
「販路開拓に繋がる商品・サービスの名称や宣伝文句および事業者名等が付記されていないもの」
さらに具体例として、会社案内パンフレット、求人広告、名刺が対象外に挙がっています。
これはSNS運用の計画で、そのまま効きます
SNSの運用というと、多くの場合「会社の雰囲気を伝える」「認知を広げる」という話になります。ですが、その書き方だと「単なる会社のPR」と読まれる可能性があります。
対象になるのは、特定の商品・サービスを売るための広報です。ですから計画書には、何を売るためのSNS運用なのかを書く必要があります。
| 通りにくい書き方 | 本来の趣旨に沿った書き方 |
|---|---|
| 会社の認知度を上げるためSNSを運用する | 新商品◯◯の販路開拓のため、SNSで◯◯を訴求する |
| ホームページをリニューアルして印象を良くする | ◯◯の受注を増やすため、専用ページと問い合わせ導線を作る |
同じことをやっていても、何のためにやるのかの書き方で扱いが変わります。ここは制度の説明ではなく、計画書の書き方の話です。
ホームページも同じ考え方です
「古いから新しくしたい」は、販路開拓の理由になりません。どの商品を、誰に、どうやって届けるために作るのか。そこが書けていれば、結果としてサイト全体が新しくなること自体は問題にならないと思っています。
落とし穴②|対象外になるもの、あとから効いてくるもの
公募要領から、WEB関係で引っかかりやすいところを抜き出します。
| 論点 | 公募要領の内容 |
|---|---|
| 運用に至らないサイトは対象外 | 「補助事業期間内に運用に至らなかったホームページ・ランディングページ」は対象外。作っただけで公開が間に合わないと、経費が認められません |
| 期間外の広告は対象外 | 「補助事業期間外の広告の掲載」は対象外。月額のSNS運用は、補助事業期間内の分だけが対象になります |
| 既存ソフトの更新料は対象外 | 「既に導入しているソフトウェアの更新料」は対象外。サーバー代や保守の継続分は入りません |
| 5年間の処分制限 | 税抜50万円以上でサイトやシステムを作ると「処分制限財産」となり、通常5年間、目的外の使用・譲渡・廃棄が制限されます |
| 支払いのタイミング | 補助対象は「交付決定日以降に発生し、補助事業期間中に支払が完了した経費」。採択前に発注・支払いをすると対象外です |
| 動画・写真の区分 | 自社サイトやECサイトで使う動画・写真の制作費は、広報費ではなくウェブサイト関連費で計上します |
5年の処分制限について、ひとこと
「5年も縛られるのか」と身構える方がいらっしゃるかもしれません。ただ、公募要領にはこう書いてあります。
「補助金の交付を受けた補助事業の目的を遂行するために必要なホームページの改良や機能強化は、補助金事務局への事前承認申請等が必要となる『処分』には該当しません。」
普通に更新して育てていく分には、問題になりません。制限されるのは、目的外の使用や、譲渡、廃棄です。
何から始めるか|商工会への相談が先です
順番を間違えると間に合わないので、そこだけ書いておきます。
- 商工会・商工会議所に相談する(会員でなくても相談できます)
- 経営計画・補助事業計画をつくる
- 事業支援計画書を発行してもらう(締切 2026年12月4日)
- 電子申請する(締切 2026年12月15日 17:00)
- 採択発表を待つ → 交付決定後に発注・支払い

仙台市には市の中小企業支援窓口があり、市外の方は各地の商工会・商工会議所、または宮城県商工会連合会が窓口になります。まずはここに行くのが正解です。制作会社に先に相談する必要はありません。
ただ、「WEBで何をやるか」が決まっていないと、計画書は書けません。そこが決まっていない段階でしたら、先にご相談いただいても構いません。ホームページ制作、SNS運用代行、SNS広告のいずれについても、費用の目安をお伝えできます。
よくあるご質問
Q. 必ず採択されますか
いいえ。お約束はできません。この補助金は審査があり、採択率は回によって変わります。この記事に書いたのは「制度として対象になるか」という話で、「審査を通るか」とは別です。ここを混同した説明にはご注意ください。
Q. ホームページだけ作りたいのですが
それだけでは申請できません。ウェブサイト関連費は単独申請が認められていないので、ほかの取組と組み合わせる必要があります。SNS運用、チラシ、看板、展示会など、何でも構いません。
Q. 45万円より高いホームページは作れませんか
作れます。補助金が30万円で頭打ちになるだけです。100万円のサイトを作って、そのうち45万円分を補助対象として申請する、という形も可能です。
Q. 保守費用やサーバー代は対象になりますか
継続的な更新料は対象外です。また、契約期間が補助事業期間を越えるソフトウェア使用権は、期間分を按分して計上することになります。
Q. SEO対策やMEO対策の費用は使えますか
ウェブサイト関連費の対象例に「ウェブサイトおよびシステムに関連するコンサルティング、アドバイス費用」があるので、内容によっては対象になり得ます。ただし、どの費目でどう計上するかは計画の中身によります。ここは商工会や当社にご確認ください。当社のサービス内容はSEO対策のページに載せています。
Q. 補助金を使わないほうがいい場合もありますか
あります。採択発表を待つ間、制作を始められません。第20回なら、申請が12月で、着手はさらに先です。急ぎの案件には向きません。また、5年の処分制限や、実績報告の手間もかかります。時間を買いたい場合は、補助金を使わないほうが早いこともあります。
Q. 宮城県の補助金もありますか
県の補助金は公募の時期が別にあります。過去の記事も宮城県の補助金でホームページ制作にまとめていますので、あわせてご覧ください。
まずはご相談ください
初回のご相談は無料でお受けしています。中小企業診断士が担当します。
「補助金を使うべきかどうか」の段階からで構いません。お話を伺ったうえで、今回は使わないほうがいいと思えば、そのようにお伝えします。