ブログ

クリニックのSNS運用|9投稿の実測でわかった、1本にかかる時間と続かない理由

クリニックのSNS運用について

投稿日:

更新日:

導入

クリニックでSNSを始めるかどうか迷っていて、「やるべきか」を解説した記事をいくつか読んだ院長先生に向けて書いています。

先に結論を3つ申し上げます。

ひとつめ。SNSも、医療広告ガイドラインの対象になり得ます。院の公式アカウントに患者さんの体験談を載せる、あるいは誰かに依頼して投稿してもらう。このあたりは、ウェブサイトと同じ規制がかかると考えたほうがよさそうです。

ふたつめ。やるかどうかより、「誰が・週に何時間出せるか」を先に決めたほうがよいと思っています。当社が自分でInstagramを回してみたところ、フィード投稿1本に3時間、リール1本に6時間かかりました。この数字を先に見ておかないと、たいてい途中で止まります。

みっつめ。SNSは、検索されません。「近くの内科」と調べている人には届きません。SNSで知ってもらったあと、その人が向かう先はマップとホームページです。ここが整っていないままSNSだけ始めても、行き止まりになります。

なお、当社は医療機関ではありません。ここに書くのは、自社のアカウントで9投稿ぶん計測した実測と、公的資料を読んで整理した内容です。個別の表現が規制に当たるかどうかの判断は、所管の保健所・都道府県にご確認ください。

結論|やるかどうかより、「誰が・週に何時間出せるか」が先だと思っています

「クリニック SNS」で検索すると、メリットとデメリットを並べた記事がたくさん出てきます。読むと、たしかにどれも間違ってはいません。集患にも求人にも効く、患者さんとの距離が縮まる、といった内容です。

ただ、それらの記事に共通して書かれていないことが1つあります。1本作るのにどれだけ時間がかかるかです。

ここが書かれていないのは、おそらく実際に自分で回していないからだと思っています。当社は自社のアカウントで9投稿ぶん、時間も含めて記録しました。その数字を出します。

先に申し上げると、フィード投稿1本に3時間です。週1本なら月に12時間。週2本なら月24時間。この時間を院内の誰かが出せるのか、出せないなら外に出すのか。SNSをやるかどうかより、こちらのほうが先に決まっている必要があると考えています。

SNSも、医療広告ガイドラインの対象です

院の公式アカウントは「広告」に当たり得ます

医療広告の規制は、2018年6月1日の改正医療法の施行から、ウェブサイトも対象になりました。SNSはウェブサイトそのものではありませんが、厚生労働省のQ&Aを読むかぎり、判断の軸は媒体の種類ではなく「誘引性」と「特定性」のようです。

つまり、特定の医療機関に患者さんを誘導する意図があると読める発信であれば、それがInstagramであっても規制の対象になり得る、ということだと考えています。実際、Q&Aでは広告チラシに印刷されたQRコードから開くページまで「インターネット上のウェブサイト等と同様に取り扱い、広告規制の対象です」とされています。

患者さんの体験談は、SNSでも避けたほうがよいと考えています

禁止されているのは「患者等の主観に基づく、治療等の内容又は効果に関する体験談」です。院の公式アカウントで「患者様の声」を紹介する投稿は、ここに当たる可能性があります。

一方で、患者さんが自分のアカウントで自発的に書いたものについては、扱いが違います。

個人が運営するウェブサイト、SNSの個人のページ及び第三者が運営するいわゆる口コミサイト等への体験談の掲載については、医療機関が広告料等の費用負担等の便宜を図って掲載を依頼しているなどによる誘引性が認められない場合は、広告に該当しません。

厚生労働省「医療広告ガイドラインに関するQ&A」A2-11

分かれ目は「誰が書いたか」ではなく、「医療機関が働きかけたかどうか」だと読めます。この構造は、Googleマップの口コミでも同じです。詳しくはクリニックのMEO対策に書きました。

インフルエンサーへの依頼は、ステマ規制にも関わります

ここは医療法とは別の法律の話になります。2023年10月1日から、ステルスマーケティングが景品表示法違反になりました。

広告には、企業がインフルエンサー等の第三者に依頼・指示するものも含まれます。/インターネット上の表示(SNS投稿、レビュー投稿など)だけでなく、テレビ、新聞、ラジオ、雑誌等の表示についても対象です。

消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」

規制されるのは依頼した側、つまり事業者です。投稿したインフルエンサー本人ではありません。院がお金や施術の割引と引き換えに投稿を頼んだ場合、広告だと分かる表示がなければ、景品表示法に触れる可能性があります。

そして医療機関の場合、依頼した時点で医療広告ガイドラインの「誘引性」も生じます。法律が二重にかかる、と理解しています。ここは特に慎重でよい部分だと思っています。

では、院の公式アカウントの運用を外部に頼むのはどうか。ここは分けて考える必要があります。消費者庁の運用基準では、事業者自身のSNSアカウントを通じた表示は、事業者の表示だと分かる例として挙げられています。実際に投稿する人が誰であっても、院の公式アカウントである以上、見た人には院の発信だと分かります。ステマ規制の問題にはならない、と理解しています。

ただし、規制そのものが消えるわけではありません。厚生労働省のQ&Aには、医療広告規制は何人にも適用されるため、広告を作成した広告代理店等にも是正が命じられたり罰則が科されたりすることがある、と書かれています。つまり代行業者も規制の対象です。ガイドラインを読んでいない業者に任せると、院と業者の両方が危なくなります。頼む相手を選ぶときの基準になると思っています。

その投稿にどの規制がかかるかを示した図。院の公式アカウントはステマ規制の対象外だが医療広告ガイドラインは常にかかり代行業者も対象、第三者のアカウントは院が依頼するとステマ規制と誘引性が二重にかかる

迷ったときの確認先

ここに書いたのは、公表されている資料をこちらで読んで整理したものです。個別の投稿が規制に当たるかどうかの最終的な判断は、所管の保健所または都道府県の医療広告担当にご確認ください。当社は弁護士でも行政でもありません。原典は厚生労働省の医療広告規制のページにまとまっています。

当社がInstagramを9投稿やってみた実測

9投稿でリーチ17,269・フォロー191でした

ここからは当社の数字です。都合のよくないものも含めて出します。

項目9投稿の合計
リーチ(見られた人数)17,269
プロフィールへのアクセス987
フォロー191
保存96
いいね86
※ 当社の練習用アカウントの実測(2026年8月時点)。広告を配信した状態での数値であり、自然な表示だけの数字ではありません。医療機関のアカウントでもありません。

いいねが86に対して、フォローが191です。いいねの数と、実際にフォローしてもらえるかは、あまり関係がなさそうでした。この時点で、いいねを追いかけるのはやめました。

内容を変えたら、保存率が2.7倍になりました

9投稿は、途中で内容の作り方を変えています。最初の4本は入門的な内容で、後半の3本はもう少し踏み込んだ内容にしました。

種類本数保存率1本あたりフォロー1本の工数
入門的なフィード4本0.30%17.3人3時間
踏み込んだフィード3本0.82%32.7人3時間
リール(動画)1本0.65%18.0人6時間
※ 保存率=保存÷リーチ。工数は本人記入。母数は9投稿・1アカウントのみです。

保存率が0.30%から0.82%へ、約2.7倍になりました。1本あたりのフォローも17.3人から32.7人へ増えています。かかった時間は同じ3時間です。

ただ、これを「内容を変えたから増えた」と言い切れるかというと、正直わかりません。後半になるほどアカウント自体が育っていた可能性もありますし、9本しかない中の3本と4本の比較です。断定できる母数ではないと思っています。

リールは1本に6時間かかりました

動画のほうが伸びる、という話はよく聞きます。当社も1本作ってみました。結果は、リーチ1,232・フォロー18でした。悪くはありません。

ただ、6時間かかりました。フィードの倍です。1時間あたりで何人にフォローしてもらえたかで並べると、こうなります。

種類1時間あたりのフォロー
踏み込んだフィード10.9人
入門的なフィード5.8人
リール(動画)3.0人
※ 1本あたりフォロー ÷ 1本の工数。当社の実測です。

当社の場合は、動画より静止画のほうが時間あたりの効率がよいという結果でした。ただしこれは当社が動画に慣れていないだけ、という可能性が高いと思っています。動画が得意な方なら、逆になるはずです。

当社の9投稿の実測。1時間あたりのフォローは踏み込んだフィードが10.9人、入門的なフィードが5.8人、6時間かかるリールは3.0人

ここから言えること

1つだけ、はっきりしたことがあります。9投稿でリーチは17,269ありましたが、そこから当社への問い合わせは1件も発生していません。

ただし、この練習用アカウントは、問い合わせを受け付ける設計にしていません。ですので「SNSでは問い合わせが来ない」という意味ではなく、認知の段階までしか測っていないとお考えください。

SNSは、認知の段階のものだと考えています。見てもらう、覚えてもらう。そこから先の「予約する」までは、別の導線が要ります。この点は後述します。

続かないのは、やる気ではなく工数だと思っています

1本3時間を週1本なら、月12時間です

この3時間には、内容を決める、文章を書く、画像を作る、キャプションとハッシュタグを整える、投稿する、までが含まれます。撮影が必要なら、さらに増えます。

投稿の頻度1ヶ月にかかる時間
週1本約12時間
週2本約24時間
毎日約90時間
※ フィード1本3時間として計算。当社の実測をもとにした概算です。

毎日投稿すると、月に約90時間です。ほぼ一人分の仕事量になります。これを診療の合間にやろうとして止まる、という話なのだと思っています。

誰が作るかで、現実的な本数が決まります

院長先生ご自身が作るなら、週1本でも多いと思います。診療が終わってからの3時間は現実的ではありません。

スタッフの方が担当されるなら、それが業務時間の中にあるかどうかが分かれ目になります。「手が空いたときにやっておいて」という形にすると、手は空きません。結局やらないまま終わる、ということになりやすいと思っています。

正直に書くと、当社も毎日は続いていません

当社の代表は、自分でも毎日投稿を試しています。2026年8月時点で、直近14日はブログ8本、Instagram 5本でした。毎日にはなっていません。

これを続けられていないのは、意志が弱いからというより、1本あたり3時間かかるのに、出せる時間が足りていないからだと考えています。だから最初に「週に何時間出せるか」を決めましょう、と申し上げています。人にお勧めしていることを自分ができていないので、あまり偉そうには言えません。

ここまでお読みになって、いまの投稿が規制に触れていないか気になった方もいるかもしれません。当社では毎月3社まで、無料で診断をお受けしています。いま出されている投稿を医療広告ガイドラインの観点で見て、気になる箇所をお伝えします。あわせて、いまの体制で続けられる本数の見立てもお出しします。無料の診断はこちらからどうぞ。

クリニックがSNSをやるなら、この順番だと思っています

① 目的を「集患」か「求人」かに絞る

この2つは、作る内容がまったく違います。集患なら症状や受診の目安の話、求人なら働く環境やスタッフの話です。両方やろうとすると、どちらの人にも刺さらない投稿になります。

体感として、クリニックのSNSは求人のほうが効きやすいのではないかと感じています。患者さんは「近くの内科」と検索して探しますが、求職者はアカウントを見て雰囲気を確かめるからです。ただ、これは当社の推測で、数字の裏付けはありません。

② Instagram1本に絞る

X、Instagram、LINE、YouTube。全部やるべきだと書いてある記事もありますが、1本3時間という前提で考えると、複数を薄く回すのは難しいと思っています。

絞るならInstagramだと考えています。理由は、画像1枚から始められることと、地域名のハッシュタグで見つけてもらえる可能性があることです。

③ 症例写真ではなく、院の中の話を出す

治療前後の写真は、医療広告ガイドラインで慎重な扱いが求められている領域です。載せるなら、治療内容・費用・リスクまでそろえる必要が出てきます。

そこまでやるより、規制に触れにくい話のほうが本数を作れます。季節の注意喚起、予防接種の時期、待ち時間が空いている曜日、機器を入れ替えた話。こういう内容であれば、体験談にも比較優良広告にもなりません。

④ いいねではなく、保存を見る

当社の9投稿では、いいね86に対してフォロー191でした。いいねはあまり参考になりませんでした。

代わりに見ているのが保存数です。保存は「あとで見返したい」という行動なので、内容が役に立ったかどうかに近いと考えています。当社の場合、保存率が上がった投稿は、フォローも増えていました。

⑤ 3ヶ月やってから判断する

1本や2本では何も分かりません。当社も、傾向らしきものが見えたのは7本目以降でした。

週1本を3ヶ月で12本。ここまでやって保存もフォローも動かないなら、内容か、そもそもSNSが向いていないかのどちらかだと思います。やめる判断も、先に決めておいたほうがよいと考えています。

ただし、SNSだけでは決まりません

SNSは検索されません。受け皿はマップとホームページです

体調が悪い方が最初にすることは、「内科 ○○駅」と検索することだと思っています。このとき出てくるのはGoogleマップとホームページで、Instagramではありません。

SNSで知ってもらえたとしても、その人が受診を決めるときに見るのは、結局マップの情報とホームページです。ここが整っていないままSNSだけ始めると、せっかく興味を持ってもらった人が行き止まりに当たります。順番としては、マップとホームページが先だと考えています。マップについてはクリニックのMEO対策に書きました。

当社の数字は、クリニックのものではありません

ここまで出してきた9投稿の数字は、当社自身のアカウントのもので、医療機関のものではありません。しかも広告を配信した状態で計測しています。

ですので「クリニックでも同じ数字が出ます」とは申し上げられません。参考にしていただけるのは、1本にかかる時間と、いいねより保存を見たほうがよさそうだという2点くらいだと思っています。そこは業種が違っても大きくは変わらないと考えています。

なぜ保存数を見ているのか|WEB解析士・中小企業診断士として

当社の代表は、経済産業大臣登録の中小企業診断士と、WEB解析士の2つを持っています。前者は経営コンサルタントに関する国家資格、後者はアクセス解析の民間資格です。

中小企業診断士は、MBAとよく比較されます。MBAは大学院で取る「学位」、中小企業診断士は国が行う試験の「資格」です。診断士には5年ごとの更新があり、実務に従事していないと維持できません。学んだ内容そのものより、更新のために現場に居続ける必要がある点が、この資格の性質だと思っています。

この2つを持っていると、SNSの見方が少し変わります。いいねは感情の反応で、保存は行動です。そして経営から見ると、意味があるのは行動のほうです。フォロワーが何人増えたかより、そのうち何人が予約したかを見たい。ただ、その数字はSNSの管理画面には出てきません。

だから当社は、SNSの中で完結する数字(いいね・フォロワー)ではなく、次の行動につながる数字(保存・プロフィールへのアクセス)を見ています。そして最終的には、マップとホームページ側で予約や電話が増えたかを確認します。

診療は先生の領域です。ただ、どの数字を見るべきかを決める作業は、経営と解析の領域だと考えています。当社がお手伝いできるのは、そちらです。

よくあるご質問

Q. 症例写真は出せないのでしょうか

A. 出せないわけではありませんが、条件が付きます。治療内容・費用・主なリスクや副作用まで併せて示すことが求められます。写真だけを載せることはできないとお考えください。個別の判断は所管の保健所・都道府県にご確認ください。

Q. スタッフに任せて大丈夫でしょうか

A. 作業自体は任せられると思います。ただ投稿前に医療広告ガイドラインの観点で確認する人は決めておいたほうがよさそうです。体験談や「最新」「日本初」といった表現は、悪気なく入ってしまいます。

Q. 運用を代行に頼んでも、規制上は問題ないのでしょうか

A. 院の公式アカウントであれば、誰が投稿してもステマ規制の問題にはならないと理解しています。ただし医療広告規制は何人にも適用されるため、代行業者にも是正命令や罰則が及び得ます。頼む相手がガイドラインを読んでいるかどうかは、確認されたほうがよいと思っています。

Q. どのSNSがよいですか

A. 1つに絞るならInstagramだと考えています。クリニックと組み合わせて検索されるSNSの名前を調べると、「クリニック インスタ」が月90回で、LINEの30回、YouTubeの20回を大きく上回っていました(キーワードプランナー・2026年8月時点)。歯科でも「歯科 インスタ」が70回です。

規制の面でも合っていると思っています。体験談が使えないぶん、言葉で語るより院の中の様子を見せるほうが作りやすくなります。写真1枚から始められるInstagramは、その形に向いています。

Q. 何ヶ月で結果が出ますか

A. 当社の場合、投稿の傾向が見えてきたのは7本目以降でした。週1本なら2ヶ月ほどです。ただし当社は9投稿で問い合わせがゼロです。認知は増えても、予約に直結するまでには別の導線が要ると考えています。

まずはご相談ください

当社では、SNS運用の支援をお受けしています。InstagramとTikTokに同じ内容を投稿する形が基本で、月額12万円〜です(2026年8月時点)。

ただ、いきなり契約していただく必要はありません。毎月先着3社限定で、無料の診断を行っています。いまの発信が医療広告ガイドラインの観点で気になる点はないか、そもそもSNSより先に整えたほうがよい場所がないか、をお伝えします。

「始めてみたが続かなくて止まっている」というご相談でも構いません。当社も同じ状態なので、よく分かります。無料相談はこちらからどうぞ。

Writer

著者情報

株式会社CONVY

代表取締役

草彅 達史

TATSUFUMI KUSANAGI

外資系スーパーマーケット、大手学習塾の教室責任者・エリアマネージャー・経営企画部(財務・広報の責任者)を経て(株)CONVYを設立。
主にマーケティング戦略の立案とWEBマーケティングの実行支援、財務分析と改善策の立案で中小企業の売上拡大を支援しています。
中小企業の倒産理由の7割を「販売不振」が占めています。そんな厳しい経営環境の中、「中小企業が夢を諦めず、夢を叶えるための支援をしたい」——。その想いから、CONVYは立ち上がりました。中小企業診断士として、現場に寄り添い、確かな実行力で、売上アップと経営改善をともに目指してまいります。

経営コンサルティングの国内唯一の国家資格:
中小企業診断士の資格を保有