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クリニックのWeb広告|禁止事項と費用の考え方、53万円を失った実測

クリニックのWEB広告

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導入

クリニックで広告を出そうとしていて、「何が禁止なのか」「いくらかかるのか」を調べている院長先生に向けて書いています。

先に結論を3つ申し上げます。

ひとつめ。医療機関の広告は、書ける内容そのものが法律で制限されています。2018年6月1日から、ウェブサイトも規制の対象です。他業種と同じ感覚で作ると、そもそも出せない表現が混ざります。

ふたつめ。費用の相場より先に、「1人来ていただくのにいくらまで出せるか」を決めたほうがよいと思っています。相場を知っても、その金額が自院にとって高いか安いかは判断できないためです。

みっつめ。当社は53万円を払って、ひとつのことを確かめました。狙っていた語に、そもそも需要がなかったということです。数字は途中で全部出します。

なお、当社は医療機関ではありません。ここに書くのは、公的資料を読んで整理した内容と、自社で広告を出した実測です。個別の表現が規制に当たるかどうかの判断は、所管の保健所・都道府県にご確認ください。

結論|クリニックの広告は、出す前に決めることのほうが多いと思っています

広告というと、どこにいくら出すかの話から始まりがちです。ただクリニックの場合、その前に確認することが2つあります。何を書いてよいのかと、いくらまでなら合うのかです。

前者は法律で決まっています。後者は自院の数字から出すしかありません。この2つが決まっていない状態で出稿すると、止めどきが分からなくなります。当社がまさにそうでした。

ちなみに、当社が調べたところ「医療広告ガイドライン」は月に3,600回検索されているのに対し、「クリニック 広告」は170回でした(キーワードプランナー・2026年8月時点)。広告の出し方より、何が禁止かを調べている方のほうが20倍多いということになります。この記事で規制の話を先に置いているのは、そのためです。

何が禁止されているのか

医療広告ガイドラインの禁止事項

医療法と医療広告ガイドラインで禁止されているものを、大きく分けると次のようになります。

禁止されているもの
虚偽広告「絶対に治ります」「必ず○○できます」
比較優良広告「県内No.1」「日本有数の実績」
誇大広告事実を不当に誇張した表現
患者等の体験談「患者様の声」として治療の効果を語るもの
治療前後の写真等説明を伴わないビフォーアフター写真
公序良俗に反するもの・品位を損ねるもの費用を前面に押し出した表現など
広告可能とされていない事項「○○外来」といった診療科名と紛らわしい表記など
※ 厚生労働省「医療広告ガイドライン」および同Q&Aをもとに当社が整理したものです。最終的な判断は所管の保健所・都道府県にご確認ください。

意外に思われるのが「比較優良広告」の範囲です。自院が書いたものでなくても該当します。

例示の雑誌に掲載されていた「日本が誇る50病院の一覧」等については、他の医療機関名も含めてそのまま掲載したとしても、雑誌社等が評価した結果は、掲載されていない医療機関よりも優れた旨を示す比較優良広告になることから、原則、広告できません。

厚生労働省「医療広告ガイドラインに関するQ&A」A1-2

雑誌に紹介されたことをそのまま載せるのも、原則できないということです。

費用の見せ方にも決まりがあります

広告で価格を前に出すのは、他業種では普通のことです。ただ医療機関の場合、扱いが違います。

費用に関する事項は、患者にとって有益な情報の1つであり、費用について、分かりやすく太字で示したり、下線を引くことは、差し支えありません。/費用を前面に押し出した広告は、医療広告ガイドラインにおいて、品位を損ねるものとして、医療に関する広告として適切ではなく、厳に慎むべきとされています。

厚生労働省「医療広告ガイドラインに関するQ&A」A2-5

分かりやすく示すのはよい。前面に押し出すのは慎むべき。この線引きは、正直なところ判断が難しい部分だと感じています。「今なら○○円」といった打ち出し方は避けたほうがよさそうです。

ウェブサイトも、二次元コードの先も対象です

2018年6月1日の改正医療法の施行から、ウェブサイトも規制の対象になりました。さらにQ&Aでは、チラシに印刷された二次元コードから開くページも「インターネット上のウェブサイト等と同様に取り扱い、広告規制の対象です」とされています。

広告の着地先だから対象外、という考え方は通らない、と理解しています。

自由診療は「限定解除」の要件があります

患者さんが自ら求めて情報を得るウェブサイトについては、一定の要件を満たすと、広告できる事項の限定が解除されます。自由診療の場合は、治療内容・費用等と、主なリスクや副作用まで情報提供することが要件に含まれます。

逆に言えば、リスクを書かずに自由診療の効果だけを載せることはできないということだと考えています。ここは自由診療を扱う院ほど関係してきます。

迷ったときの確認先

ここに書いたのは、公表されている資料をこちらで読んで整理したものです。個別の表現が規制に当たるかどうかの最終的な判断は、所管の保健所または都道府県の医療広告担当にご確認ください。当社は弁護士でも行政でもありません。原典は厚生労働省の医療広告規制のページにまとまっています。

広告の種類と、かかるお金

クリニックが出せる広告を、性質で分けると4つくらいだと考えています。

種類課金のしかた向いている場面
リスティング広告クリックごと「内科 ○○駅」など、探している人に出したいとき
ディスプレイ・SNS広告表示またはクリックまだ探していない人に知ってもらいたいとき
ポータルサイト掲載月額固定が多い比較して選ばれたいとき
チラシ・看板一括診療圏が狭く、ネットを使わない層が多いとき
※ 当社が整理したものです。実際の費用は地域と診療科で大きく変わります。

費用の相場は調べれば出てきます。ただ相場を知っても、それが自院にとって高いか安いかは分かりません。そこは次の章の話になります。

ひとつだけ数字を出しておくと、当社が調べた範囲では、地域名を付けた一般的なWEB系の語のクリック単価は1,200円〜1,800円ほどでした。医療系はこれより高くなる語もあります。クリック100回で12万円から18万円という水準です。

53万円を払って分かった、出す前に確かめること

まず、数字をそのまま出します

ここからは当社の失敗の話です。都合の悪い数字ですが、そのまま出します。

項目実測
投下した金額約53万円
クリック3,091
1クリックあたり約171円
問い合わせ0件
※ 当社のGoogle広告管理画面の実データ(2026年7月31日時点で集計)。当社自身の集客と各種施策の検証のために出稿したものです。

3,091回クリックされて、1件も問い合わせが来ませんでした。クリックは来ているので、広告そのものは表示され、押されています。問題はその先です。

当社がGoogle広告に約53万円を使ったときの実測。クリックは3,091回、管理画面のコンバージョンは5件だったが実質の問い合わせは0件。表示のうち検索結果に出ていたのは約5%

止めてから分かった、いちばん大きな原因

問い合わせ0の原因として考えていることが3つあります。

①表示の9割以上が、狙っていない場所に出ていたこと。総表示244,858回のうち、検索語句として記録されたのは12,832回だけでした。残りの約22万8千回は「関連サイトにも表示」の設定によるもので、検索結果ではない場所です。ここは業界の中でも設定のあるなしの評価が分かれるものです。私は設定しないに賛成ですが、成果を検証するために両方試しました。平均クリック単価が172円と安かったのは、そのためです。

②狙った語そのものは、間違っていなかったと思っています。「仙台 ホームページ制作 会社」のクリック率は3.28%、「仙台 デザイン会社」は6.59%でした。検索語句ベースだけで見ると13.55%です。探している人と、売っているものは合っていました。問題は、その語が純粋な検索では週に2回から4回しか表示されなかったことです。関連サイトへの表示を切った週、表示回数は21,125から19,520、そして12、3へと落ちました。

③止める条件を決めていなかったこと。これがいちばん大きいと感じています。「施策を変えても反応がないな」と思いながら、広告費を払い続けました。効果を検証するためです。いくら使って何もなければ止める、を先に決めていれば53万円にはならなかったはずです。

だから、出す前に需要を確かめます

この経験から、当社は自社の集客手段としての広告をやめました。今は検索とマップに寄せています。

クリニックの場合も、順番は同じだと考えています。広告を出す前に、マップとホームページが受け皿になっているか。ここが空のまま広告費を払うと、当社と同じことが起きます。マップについてはクリニックのMEO対策に書きました。

なお、当社は広告運用の代行自体はお受けしています。自社の集客手段として選ばなかった、という話であって、広告が効かないと申し上げているわけではありません。

いま広告を出されている場合は、その数字を一緒に見ることもできます。当社では毎月3社まで、無料で診断をお受けしています。クリック数のうち何件が予約や電話につながっているか、止める条件を決められる状態かをお伝えします。まだ出されていない場合は、そもそも出すべきかどうかからお話しします。無料の診断はこちらからどうぞ。

出す前に決めておきたい4つのこと

① 誰に見せるのか(診療圏)

クリニックは距離の商売だと考えています。体調が悪い方は、遠い医院を選びません。広告の配信範囲を県全体に広げると、来られない人にお金を払うことになります。

当社の実測でも、Googleマップの順位は範囲を広げるほど下がりました。同じ語で、区なら1位、市なら2位、県なら4位です。距離が効いているということだと考えています。

② 1人来てもらうのにいくらまで出せるか

ここが決まっていないと、相場を見ても判断できません。考え方としては、新しく1人の患者さんに来ていただいたとき、その方が通われる期間の診療報酬の合計から逆算します。

たとえば1回3,000円で、年に4回来られる方が3年通われるなら36,000円です。ここから利益率を掛けて、獲得にかけてよい上限を出します。この数字が出ていれば、クリック単価が高いかどうかも判断できます。

ただし、これは当社が一般的な考え方として整理したものです。診療科によって通院の頻度も期間もまったく違うので、実際の数字は自院のもので出す必要があります。

③ 着地させるページはあるか

広告をクリックした人が最初に見るページが、トップページになっていることがあります。

「花粉症 ○○駅」で来た人に見せるべきなのは、花粉症の診療内容と、予約の方法です。ここが用意できていないなら、広告より先にページを作ったほうがよいと考えています。

④ 止める条件を先に決めておく

当社が53万円まで使ってしまった理由がこれです。「3ヶ月で予約が0件なら止める」のように、先に書いておく。これだけで、損失は3分の1で済んだはずです。

広告は、始めるより止めるほうが難しいと感じています。ここまで払ったのだから、と思ってしまうためです。

広告を出す前に決めておきたい4つのこと。誰に見せるのか、1人来てもらうのにいくらまで出せるか、着地させるページはあるか、止める条件を先に決めておく。当社は4つめを決めていなかった

費用対効果をどう見ているか|WEB解析士・中小企業診断士として

当社の代表は、経済産業大臣登録の中小企業診断士と、WEB解析士の2つを持っています。前者は経営コンサルタントに関する国家資格、後者はアクセス解析の民間資格です。

中小企業診断士はMBAと比較されることがあります。MBAは大学院で取る「学位」、中小企業診断士は国が行う試験の「資格」です。診断士には5年ごとの更新があり、実務に従事していないと維持できません。

この2つを持っていると、広告の見方が変わります。広告の管理画面に出てくる数字は、費用対効果ではありません。表示回数、クリック率、クリック単価。これらは全部、広告の中で完結した数字です。

当社の53万円も、管理画面の中では悪い数字ではありませんでした。3,091クリックで1クリック171円は、むしろ安いほうです。それでも問い合わせはゼロでした。管理画面だけを見ていると、この失敗には気づけません。

だから当社は、広告費を見るときに「その金額が、最終的に何人の患者さんに変わったか」から逆に見ます。クリック単価の改善より、そもそも合う商売なのかを先に判断したい、という考え方です。

診療は先生の領域です。ただ、投じた費用が何に変わったのかを見る作業は、経営と解析の領域だと考えています。当社がお手伝いできるのは、そちらです。

よくあるご質問

Q. 広告費は月にいくらくらい必要でしょうか

A. 金額から決めないほうがよいと考えています。1人来ていただくのにいくらまで出せるかを先に出して、そこから月額を決める順番です。当社は金額から入って53万円を失いました。

Q. 「県内で唯一の」といった表現は使えますか

A. 比較優良広告に当たる可能性が高いと考えています。事実であっても、他院より優れている旨を示す表現は原則できません。個別の判断は所管の保健所・都道府県にご確認ください。

Q. ポータルサイトへの掲載はどうでしょうか

A. 手間がかからない点は利点だと思っています。ただ、やめた瞬間に流入がゼロに戻ります。自院のホームページやマップは、やめても残ります。この違いは意識しておいたほうがよさそうです。

Q. 広告とSEO、どちらを先にやるべきでしょうか

A. 当社はマップを先にお勧めしています。費用がかからず、クリニックは距離が効くためです。ただし、これは当社1社の経験からの意見で、すべての院に当てはまるとは限りません。

広告単体ではなく、SEO・MEO・SNSまで含めた全体の中で考えたい方は、クリニックの集客の記事をご覧ください。

まずはご相談ください

当社では、Web広告の運用代行をお受けしています。ただ、お話をうかがったうえで「まだ広告の段階ではないと思います」と申し上げることもあります。当社自身が失敗しているので、無責任にお勧めできません。

毎月先着3社限定で、無料の診断を行っています。いま出している広告があれば、その数字を一緒に見ます。まだ出していなければ、そもそも出すべきかどうかからお話しします。

「広告代理店から提案を受けたが、判断がつかない」というご相談でも構いません。無料相談はこちらからどうぞ。

Writer

著者情報

株式会社CONVY

代表取締役

草彅 達史

TATSUFUMI KUSANAGI

外資系スーパーマーケット、大手学習塾の教室責任者・エリアマネージャー・経営企画部(財務・広報の責任者)を経て(株)CONVYを設立。
主にマーケティング戦略の立案とWEBマーケティングの実行支援、財務分析と改善策の立案で中小企業の売上拡大を支援しています。
中小企業の倒産理由の7割を「販売不振」が占めています。そんな厳しい経営環境の中、「中小企業が夢を諦めず、夢を叶えるための支援をしたい」——。その想いから、CONVYは立ち上がりました。中小企業診断士として、現場に寄り添い、確かな実行力で、売上アップと経営改善をともに目指してまいります。

経営コンサルティングの国内唯一の国家資格:
中小企業診断士の資格を保有