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結論から書きます。新事業進出・ものづくり商業サービス補助金で、ホームページは作れます。公募要領の対象経費に「補助事業のPR等に係るウェブサイトの構築」が明記されています。
ただし、条件があります。対象になるのは補助事業(新しく始める事業)のPR用に限られ、会社サイト全体のリニューアルは対象外です。金額にも上限があり、補助事業の売上見込み額(1年当たり・税抜)の5%までという計算式が要領に書かれています。ここを読み違えると、採択後の精査で減額や対象外になる可能性があります。
この記事は、中小企業庁・中小機構が公開している第1回公募要領(1.2版・令和8年8月改訂)を根拠に、中小企業診断士でホームページ制作会社でもある立場から、ウェブサイト経費のルールを整理します。公募要領は改訂されることがあるため、申請前に最新版をご確認ください。
結論:作れます。ただし「補助事業のPR用」に限られます
公募要領の「広告宣伝・販売促進費」の項目に、対象経費として次の記載があります。
補助事業で製造又は提供する製品・サービスに必要な広告(パンフレット、動画、写真等)の作成及び媒体掲載、補助事業のPR等に係るウェブサイトの構築、展示会出展、ブランディング・プロモーションに係る経費
第1回公募要領(1.2版)「広告宣伝・販売促進費」より
ポイントは「補助事業の」という限定です。同じ項目の注記に、対象外の経費としてこう書かれています。
補助事業以外の自社の製品・サービス等の広告や会社全体のPR広告に係る経費
同・補助対象外の経費より
対象になる例・ならない例
この2つの記載から、対象になるかどうかは次のように整理できると考えています。
- 対象になり得る:新事業・新製品の紹介ページ(ランディングページ)/新事業専用のページ群の新設/新事業の商品を売るECサイト/海外向けの英語ページ(グローバル枠)
- 対象にならない:会社サイト全体のリニューアル/会社全体のPRページ/既存事業のサービスページの改修
補助対象外経費の一覧にも「既存事業に活用する経費、既存事業と補助事業が共用される経費」が挙げられています。つまり、「この機会に会社のホームページを丸ごと新しくしよう」という使い方はできません。新事業のためのページを、既存部分と切り分けて作るのが前提です。切り分け方は後半で具体的に書きます。
この補助金の概要(令和8年新設・締切は10月30日)
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金は、令和8年に始まった制度です。名称のとおり、これまでの「中小企業新事業進出補助金」「ものづくり・商業・サービス補助金」の流れをくむ位置づけで、中小企業の企業規模の拡大・付加価値向上を通じた生産性向上と、賃上げにつなげることを目的としています。実施主体は独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)です。
3つの枠と補助上限
| 枠 | どんな取り組みか | 補助上限額(賃上げ特例) | 補助率 |
|---|---|---|---|
| 革新的新製品・サービス枠 | 革新的な新製品・新サービスの開発 | 従業員数に応じて最大2,500万円(3,500万円) | 中小1/2(特例2/3)、小規模2/3 |
| 新事業進出枠 | 既存事業と異なる新市場・高付加価値事業への進出 | 従業員数に応じて最大7,000万円(9,000万円) | 1/2(特例2/3) |
| グローバル枠 | 海外市場開拓(輸出)に向けた国内体制の強化 | 下限750万円、従業員数に応じて最大7,000万円(9,000万円) | 2/3 |
補助事業実施期間は、革新的新製品・サービス枠が交付決定日から10か月以内、新事業進出枠とグローバル枠が14か月以内です(いずれも採択発表日からの上限も別途あります)。ホームページの公開はこの期間内に終える必要があるため、制作スケジュールに直接関わってきます。
スケジュール:締切は10月30日18時(日程が変更されています)
- 公募開始:令和8年6月29日(月)
- 申請受付:令和8年9月30日(水)から
- 申請締切:令和8年10月30日(金)18:00
- 採択発表:令和9年1月頃(予定)
注意したいのは、当初の案内から受付・締切の日程が変更されていることです。以前の情報のまま「9月末締切」と認識している方は、8月改訂の公募要領1.2版(公式サイト)をご確認ください。申請は電子申請のみで、GビズIDプライムアカウントが必要です。要領には「電子申請の入力には数時間程度を要する」「締切間際には非常に多くの申請が予想される」という注意も書かれています。
もう1つ、冒頭の注意事項に重要な記載があります。採択されても、その後の交付申請で経費の内容が精査され、減額または全額対象外になる場合があるということです。ホームページ経費も、この精査を通る書き方をしておく必要があります。
ウェブサイト経費の5つのルール(公募要領の原文から)
広告宣伝・販売促進費の項目には、ウェブサイトに関わるルールが5つ書かれています。
- 区分は「広告宣伝・販売促進費」
- 上限は補助事業の売上見込み(1年当たり・税抜)の5%
- 100万円以上のウェブサイト構築費は、開発費用算出資料が必要
- 金額に関わらず、複数者からの見積もりが必要
- 発注は交付決定後、公開は実施期間内
ルール1:区分は「広告宣伝・販売促進費」
ウェブサイトの構築費は、機械装置・システム構築費ではなく「広告宣伝・販売促進費」に計上します。要領の注記に「補助事業のPR等に係るウェブサイトに係る経費は、『広告宣伝・販売促進費』となります」と明記されています。パンフレット・動画・展示会出展などと同じ区分です。どの区分に入るかで上限のルールが変わるため、ここは最初に押さえておきたいポイントです。
ルール2:上限は「売上見込みの5%」——計算式があります
広告宣伝・販売促進費には、区分全体の補助上限額が定められています。要領の計算式は次のとおりです。
上限額=事業計画期間内の補助事業における売上見込み額合計÷事業計画年数×5%
第1回公募要領(1.2版)「広告宣伝・販売促進費」注記より
例を挙げます。事業計画期間が5年で、補助事業(新しく始める事業)の売上見込みの合計が1億円なら、1年当たりは2,000万円。その5%で、広告宣伝・販売促進費の上限は100万円です。1年当たりの売上見込みが4,000万円なら200万円になります。

ここから2つのことが言えます。1つは、ホームページ・パンフレット・展示会などを合わせてこの枠に収める必要があるため、何にいくら使うかの配分を先に設計しておく必要があること。もう1つは、上限が売上見込みから計算される以上、売上計画の数字が甘いと、ホームページ予算の根拠も一緒に崩れることです。この点は後半の「大事なポイント」でもう一度触れます。
ルール3・4:100万円以上は算出資料、金額に関わらず相見積もり
100万円(税抜)以上のウェブサイト構築費を計上する場合は、実績報告時に開発費用算出資料(作業単価、作業工数及び作業時間、固定費用、作業担当者、作業担当者勤務記録等)の提出が求められます。また金額に関わらず、複数者からの見積もりと、価格の妥当性が確認できる証憑が必要です。
これは発注する側だけでなく、制作会社を選ぶ基準にもなります。「一式◯◯万円」としか書けない会社だと、実績報告の段階で苦労する可能性があります。作業単価と工数まで分解した見積もり・報告資料を出せるかどうかを、発注前に確認しておくと安心です。実績報告では成果物の写真等の提出も求められます。
ルール5:発注は交付決定後、公開は実施期間内
要領には「交付決定後の発注・契約が前提」「補助事業実施期間内にウェブサイトが公開されること」が明記されています。つまり、採択の前に制作を始めてしまうと補助対象になりません。
第1回のスケジュールで考えると、採択発表が令和9年1月頃、その後に交付申請・交付決定を経て発注ですから、実際に制作が動くのは令和9年の春以降になる見込みです。一方で公開の期限は実施期間内(交付決定から10〜14か月以内)。申請段階では発注できませんが、どんなサイトをいくらで作るかの設計と相見積もりは、申請前に済ませておくことになります。
補助事業のPRサイトとして、どんな形が作れるか
「補助事業のPR用」という条件を満たしながら作れる形は、1つではありません。新事業の性質と予算(5%上限)に応じて、主に4つの形が考えられます。当社はこの4つのいずれも制作していますので、実務の観点も添えて書きます。
形1:ランディングページ(1ページ完結)
新製品・新サービスの紹介を1ページにまとめる、いちばんコンパクトな形です。売上見込みが小さめで5%上限がタイトな場合でも収まりやすく、広告やチラシのQRコードの受け皿としても機能します。新事業の立ち上げ初期は「まず1ページで検証し、手応えに応じて増やす」という順番が合理的な場面も多いと考えています。
形2:新事業専用ページ群を、今のサイトの下層に新設する
検索からの集客まで狙うなら、この形をおすすめします。別ドメインで新しくサイトを立ち上げるのではなく、今の会社サイトのドメインの下層に、新事業専用のページ群を新設する形です。長く運用してきたドメインの評価を引き継げるため、新規ドメインでゼロから始めるより検索で有利になりやすいと考えています。
当社のサイトを例にすると、仮にAI導入支援の事業を新しく始めるなら、こういう構造です。
- convy.co.jp/ai/(新事業のトップページ)
- convy.co.jp/ai/seizougyo/(製造業向けの活用ページ)
- convy.co.jp/ai/kenchiku/(建築業向けの活用ページ)
- convy.co.jp/ai/syokuhin/(食品業向けの活用ページ)
業種や用途ごとにページを分けるのは、検索の入口を増やすためです。1つのページで狙える検索語は1つか2つで、Googleは「1ページ=1テーマ」を評価しやすい傾向にあります(この考え方はホームページで集客できない理由の記事でも書いています)。そして補助対象は新設したページ群の制作費です。既存ページのリニューアルを混ぜると「既存事業との共用」と見なされる恐れがあるため、見積もりの段階から新設分だけを切り分けておきます。

形3:ECサイト(新事業の商品を売る)
新事業で作る商品をオンラインで売るなら、ECサイトも「補助事業のPR等に係るウェブサイト」として考えられます。ECは決済・商品管理などの機能が入るぶん100万円を超えやすいため、ルール3の開発費用算出資料を出せる制作会社かどうかが特に重要になります。なお、機能の内容によってはシステム構築費との区分の整理が必要になる場合もあるため、最終的な区分は事務局への確認をおすすめします。
形4:英語ページ・英語サイト(グローバル枠)
グローバル枠(輸出)で申請するなら、海外の取引先・顧客に向けた英語ページが自然な選択肢になります。グローバル枠には「通訳・翻訳費」という専用の経費区分(上限30万円・税抜)もあり、広告宣伝・販売促進に必要な翻訳が対象とされています。英語サイトの構築と翻訳をどう組み合わせて計上するかは、見積もりの段階で設計しておきたいところです。
当社はランディングページ、下層への新設ページ群(SEO設計込み)、ECサイト、英語ページのいずれにも対応しています。どの形が合うかは新事業の売上計画次第なので、「計画のどこにホームページを位置づけるか」から一緒に考えるようにしています。制作の進め方と料金の考え方はホームページ制作のページに、検索で見つけてもらうための設計はSEO対策のページにまとめています。
審査では何が見られるか(公募要領の審査項目から)
審査は書面審査と口頭審査があります。書面審査の最初の項目「補助対象事業としての適格性」に、経費について次の記載があります。
事業経費や補助対象経費が事業目的の達成のために真に必要かつ合理的な額か。
第1回公募要領(1.2版)3-1 書面審査より
ホームページ経費も、この目で見られます。「新事業を始めるからホームページも作る」という書き方では、必要性も合理性も伝わりません。伝わる書き方は、売上計画の中でホームページに役割を持たせることだと考えています。たとえば「初年度の売上◯◯万円のうち、◯件はウェブ経由の問い合わせから作る。そのために業種別のページを◯ページ用意し、◯◯という検索語で接点を作る」という形です。金額の合理性は、ルール3・4の相見積もりと工数の分解で示します。
また、要領の「事業計画書作成のポイント」には、定性的・定量的情報を用いて具体的な理由や根拠を示すこと、市場規模と成長性、競合他社と比べた優位性、体制・スケジュール・財務状況を示すことが挙げられています。経営戦略との整合性や事業の実現可能性も、書面審査の項目として明示されています。
大事なポイント(※ここからは私見です)
ここからは公募要領に書かれていることではなく、中小企業診断士として事業計画づくりに関わってきた立場からの私見です。その前提でお読みください。
私見1:根拠となる数値をしっかり書く——補助金は「国が投資家」
補助金は、国が投資家だと考えると分かりやすいと思っています。投資家は、ふわっとした資料には投資を躊躇します。「市場が伸びているので売上◯◯万円を見込みます」だけでは、なぜ自社がその金額を取れるのかが分かりません。単価×件数の積み上げ、件数の獲得経路(誰に、どこで知られて、なぜ選ばれるのか)まで数字でつながって、はじめて投資判断の材料になります。
そしてこの記事の文脈で言えば、ホームページ経費の上限は売上見込みの5%から計算されるのでした。売上見込みの根拠が弱いと、経費計画全体の根拠も一緒に弱くなります。数値の積み上げは、採択のためだけでなく、経費の妥当性を支える土台でもあります。
私見2:本業の安定性を示す——新事業の予測は創業と同じくらい難しい
新事業への進出は、売上がゼロから立ち上がるという意味で、創業と同じくらい予測が難しいものだと考えています。計画どおりに進まない期間は、ほぼ確実にあります。そのとき新事業を支えるのは本業です。本業の収益と財務が安定しておらず、新事業のリスクを支えられない状態だと、投資家(国)は投資に躊躇するはずです。
だから事業計画では、新事業の明るい見通しだけでなく、本業の安定性と、計画が下振れしたときに耐えられる財務を示すことが大事だと考えています。補助金は原則として、事業を実施して実績報告をした後に支払われる後払いです。制作費や設備費をいったん立て替える資金繰りまで含めて、計画に織り込んでおく必要があります。
事業計画は「自分で書く」が大前提です(代行は禁止)
公募要領には、外部支援者の活用についてはっきりした記載があります。認定経営革新等支援機関を含む外部支援者の助言を受けることは差し支えない、とした上で、こう続きます。
作成自体を申請者以外が行うことは認められず、発覚した場合は不採択・採択取消・交付決定取消となります。
第1回公募要領(1.2版)「外部支援者活用時の注意」より
要領には、高額な成功報酬を請求する、経費の水増しを提案するといった悪質な申請支援業者への注意喚起も書かれています。あわせて知っておきたいのは、事業計画書や申請書の作成にかかる費用は補助対象外で、事業計画書の作成支援者への経費は専門家経費にも計上できないことです。支援を頼むなら、その費用は自己負担になります。
助言は受けられます——使い方は「代筆」ではなく「壁打ち」
当社も、事業計画書は本来、事業者自身が書いた方がよいと考えています。書く過程で数字の根拠や戦略を自分の言葉にすることが、そのまま口頭審査や実行段階の力になるからです。その上で、自分で書いた計画を客観的な視点でチェックし、添削・改善提案を受ける使い方であれば、要領の趣旨にも沿います。私見1・2で書いた「数値の根拠」「本業の安定性」は、まさに壁打ちで強くできる部分です。
当社の事業計画策定支援も、この形です。書いたものへのチェック・添削・改善提案から、数値計画の組み立てまで、中小企業診断士が伴走します。
まとめ:締切10月30日からの逆算スケジュール
- 今すぐ〜9月:GビズIDプライムの取得(未取得なら最優先)。事業計画の骨子と数値根拠づくり。ホームページを含む経費の設計と複数者からの見積もり取得
- 9月30日〜10月30日18時:電子申請。入力には数時間かかるとされ、締切間際は混雑が予想されるため早めに
- 令和9年1月頃:採択発表。その後、交付申請→経費の精査→交付決定
- 交付決定後:ここではじめて発注・契約。制作を進め、実施期間内(交付決定から10〜14か月以内)に公開

最後にもう一度まとめます。この補助金でホームページは作れます。ただし補助事業のPR用に限られ、上限は売上見込みの5%。発注は交付決定後です。逆に言えば、ホームページを「経費の一項目」ではなく「新事業の売上をどう作るか」という計画の一部として設計できていれば、経費の必要性・合理性はおのずと説明できるはずです。
当社は、中小企業診断士による事業計画策定支援と、ランディングページ・新設ページ群・ECサイト・英語ページのホームページ制作の両方を行っています。「計画とホームページを同じ目線で設計したい」という方は、無料相談をご利用ください。
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出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 第1回公募要領(1.2版・令和8年8月改訂)」。記載内容は執筆時点(2026年8月)の情報です。制度の詳細・最新情報は公式サイトでご確認ください。
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